会社員時代には気づけなかった有り難さ
ヒラ社員では気づけないこと
会社を経営して7年目、もうすぐ8年目に入りますが、それ以前は多くの人と同じく雇われ、つまりサラリーマンをしていました。
新人研修が終わると現場に配属されて、数年務めた後に昇進する間もなく退職して起業しました。
今回は、起業してから気づいたこと、会社員ではこれは気づけないだろうなと思ったありがたいことをまとめてみます。
経理のありがたさ
普通は経理にありがたいなんて思いません。
私は経理がどこで何をしているのか知りませんでした。
自分で会社経営をするようになると、「経理ってありがたいんだなー」と思うようになりました。
ありがたいと思うポイントを説明します。
・領収書を上司に渡せばOK
これはサラリーマンでも分かると思います。
領収書を上司や経理に渡せば、給与と合わせて振り込んでくれる。もしくはその場で建て替えてくれる。
これの何がありがたいのか。買い物してきてあげたんだから、用事を済ませてきてあげたんだから、むしろお駄賃をくれても良いんじゃないか。
そう思うのもわかりますが、それは仕事として給与の範囲内なのでもらえません。
むしろ、なんの処理もしなくて良いことがありがたいのです。
会社の口座から現金を引き出すのはとても難しいことです。
別に私は社長なのでキャッシュカードを使って勝手に引き出せば良いのですが、そうすると使途不明金が出てきてしまいます。
きちんとすべて現金出納帳につけて会社の現金の流れを把握する必要があり、毎日それをしていると大事な仕事ができない日も出てきたりします。
小口現金の管理もなかなか大変で、毎日いくら小口現金があるのか把握するのも経理がしてくれています。
そのため、領収書を渡すだけでそれをしてくれる経理はとてもありがたいのです。
・給与が遅れずに振り込まれる
当然のことと思われますが、経理がいない会社では社長が振込全般を行っています。
忙しくて月末に間に合わなかったり、ギリギリになってしまったりすることも結構あります。
これも経理の大事なありがたい仕事です。
・日々発生する仕訳業務
先程の現金出納帳に似ていますが、他にも文房具を買ったり納品したときの納品書や、取引先からの請求書、ありとあらゆる金額が書いてある書類があります。
これらを仕訳という面倒な業務を介することで会社の決算書が出来上がります。
どの費目で起票するのか、この入金はどの請求に紐付いているのか調べるのも大変です。
月末にはすべての仕訳が合っているか確かめる必要もあり、なかなか大変な業務量になってしまいます。
サラリーマンには関係の内容に思えるかもしれませんが、業績がどんぶり勘定でボーナスが出なかったり、出しすぎて倒産したりしないのは日々の経理の仕事で成り立っています。
総務のありがたさ
総務はとても悪く言えばただの雑用ですが、その雑用も誰かが絶対にやらなければいけません。
コピー用紙が足りなくなったり、ボールペンやノートがなくなったりすれば業務に支障が出てきます。
今は必要ないけど後で必ず必要になる書類をまとめて管理してくれていたりします。
そうならないようにしてくれているのが総務です。
あらゆる足りないものやいらないものを管理したり、何がどこにあるのか、書類のありかを教えてくれるのも総務です。
中小企業にはいないかもしれませんが、総務がいれば楽になるのになーと思った社長も多いことでしょう。
総務も非常にありがたい仕事です。
人事のありがたさ
人事はサラリーマンにとっては面接のとき以外は会ったことがないことも多いでしょう。
たまの飲み会でしか顔も見ないし、どこで何をしているのかわかりません。
ですが、とてもとても重要な仕事を担ってくれています。
・人事評価
人事がいないと、人事評価がとても難しくなります。
何故かというと、直接業務で関係のある人と関係のない人がそれぞれ評価する形にしなければ、公平な判断ができないからです。
どうしても主観が入り、最後にちょっといじってみたりして、そのさじ加減で評価される人とされない人が出てきてしまいます。
これでは業務に差が出てきたり、最悪の場合納品の品質にも影響が出ます。クレームが来てからでは遅いのです。
そうならないように公平に人事評価をまとめてくれています。
・採用面接
中小零細企業では、面接は社長の仕事です。
副社長やリーダークラスが行うこともありますが、その人達も他の仕事の時間を割いて面接しています。
人気の企業だと毎日何人も応募が来て、それぞれ履歴書を見たり、メールを返したり面接の日程調整をしたりしなければいけません。
面接も時間を取られる上に採用に至るのはごく僅かです。
そのために何倍もの時間を掛けて、丁寧に対応していると本来の業務ができません。
これを誰かがやってくれたら、、それを叶えているのが人事です。
営業のありがたさ
起業したてであれば、社長自らが仕事をとってくることになります。
ですが、社長の仕事は他にもたくさんあります。
本来であれば、いちばん大事な毎月の売上等を見て経営判断をすることに力を入れるべきです。
営業がいれば、クレーム対応で客先に向かう必要もありませんし、案件化のために無理な値引き交渉を引き受けることもありません。
納品に向かうことも、無駄なお付き合いに時間を取られることもありません。
毎月の集計も不要ですし、目標数字を追いかけて新規顧客を探すこともありません。
本来するべき業務に集中して、より会社の安全を高め、お客様の満足に貢献するための施策を考えることもできます。
サラリーマンで営業経験のない人は、この大変さがわからないかもしれませんが、並大抵の大変さではないので、とても営業もありがたい存在です。
現場のありがたさ
営業、現場どちらかを経験した方なら、このありがたさは分かると思います。
現場が頑張ってくれなければ、いくら営業しても無駄になってしまいます。
納品できない、品質が悪い、仕様が違う、納品先が違う、いろいろな間違えるポイントがありますが、それらをすべてうまくこなしてくれています。
これをすべて他の業務をやりながら行うと、必ずどこかミスを犯してしまうでしょう。
ミスや間違いが起きないように日々頑張ってくれているのが現場です。
現場がただの数字を売上にしてくれています。
ですから、現場もとてもありがたいのです。
従業員が来てくれること
これは管理的立場に立ったことのある方であれば分かると思います。
従業員が来ないと、実際何もできません。
少しなら大丈夫ですが、例えば一斉に全員やめたとしたらどうでしょうか。
おそらく会社の業務がほとんど止まってしまうでしょう。
全部自分一人で対処することになり、納期に間に合わず「誰でもいいから助けてほしい!」そんな気持ちになることでしょう。
普段は「そんなに嫌なら来るな!」「なんでそんなに仕事ができないんだ」と言ったり思ってたりしたはずです。
失って分かる辛さではありますが、仕事ができなくても、やる気がなくても従業員が来てくれるだけでありがたいのです。
指示は誰からも来ないこと
これも管理的立場にならなければわかりません。
更に言えば、中間管理職はまだ会社の方針や予算などを指示されていますし、最終決済の全責任を負ったりしません。
「あれやっといて」「これ今日中ね」
普段なら嫌気が差すような指示であっても、誰かに指示されるということはありがたいことなのです。
全部自分一人で自由にできる、それが本来社長ですが、意外と制約が多くできることは限られてきます。
しかも誰かに指示された制約ではなく自分で気づかなければやり終えた後に影響が出てくるようなことも多々あります。
そんな未来予測をしながら人に指示を出すより、すでに熟考済みの指示を受けたほうが楽に決まっています。
たとえその指示どおりにできなくても、できたとして上司の考慮が足りず指示が間違っていても、最悪の場合でもクビになるだけです。
会社の全責任を負っているわけではありません。
指示通りやっただけですし、その指示を出した人が責任を取るでしょう。
誰かに指示されるということはありがたいことなのです。
誰にも判断を仰げないこと
指示されないということは、判断を仰げないということです。
勝手に決めて勝手にやる。判断ミスがあればその責任を負う。
当然のことですが、社長の責任はとても重いのです。
従業員、従業員の家族、取引先、債権者、自分の家族、自分自身に対して常に責任を負っています。
安易にうなずいたり相槌を打つことさえ失敗に繋がりかねません。
そんな責任の中、どうしたらいいのかわからないようなことばかり起きます。
そのとき、誰かに聞くことができたら。。
平社員であれば、上司や先輩に聞けば教えてくれるでしょう。
めんどくさがられたり、怒られたりするでしょうが、人生が壊れてしまわないだけマシです。
その判断が間違っていても答えた人のせいにすればいいだけですし、多少責任をとっても再就職の道はありますし、多額の負債を抱えることもありません。
社長はそういうわけにはいきません。
「あの人がこういってたから」「〇〇さんに聞いてやったからわからない」
言うことは自由ですが、結果の責任は自分で取ることになります。
誰かに判断を仰げるということはありがたいことなのです。
さいごに
ヒラ社員では気づきづらい、普段のありがたさを書いてみました。
いつも助けてくれる上司や部下、先輩後輩、別部署の人、取引先に感謝が止まらないと思います。
仕事と言っても、結局は人と人の関係性で成り立っています。
人の上に立つ立場になったなら、人一倍お世話になっている人たちに感謝で恩返ししましょう。
今日のペンちゃん
眠そうな顔でひょっこり。
おはよ~。かわいい♪
-
前の記事
起業する方法と、具体的な行動を伝授します【その③・登記、調達編】 2019.04.09
-
次の記事
独立した時の責任範囲について 2019.04.11