独立した時の責任範囲について
起業方法による責任範囲
学校の公民で習ったことがあるかもしれませんが、独立する方法によっては責任範囲が変わってきます。
独立後に選ぶ企業形態の参考になるように、それぞれのメリット・デメリットと、教科書通りには行かない実情を解説します。
起業方法
5種類ある起業方法はそれぞれ、以下のような形であると説明されています。
個人事業主
意思決定:個人で意思決定・事業を行う
資金獲得:個人の出資分
公告義務:無し
責任範囲:無限責任
株式会社
意思決定:株主、代表取締役、役員、役員会で意思決定・事業を行う。監査役があることも
資金獲得:株式による資金調達を行う
公告義務:有り
責任範囲:有限責任
合同会社
意思決定:社員全員の一致
資金獲得:社員からの出資
公告義務:無し
責任範囲:有限責任
合資会社
意思決定:社員全員の一致
資金獲得:社員からの出資
公告義務:無し
責任範囲:無限責任最低1人以上、有限責任最低1人以上
合名会社
意思決定:社員全員の一致
資金獲得:社員からの出資
公告義務:無し
責任範囲:無限責任
意思決定とは、法律で定められた事項や契約など重要な意思決定を行う代表者の意思決定方法です。
資金獲得は、事業用資金をどのようにして獲得することが可能かの規定です。
公告義務は決算報告を公に公表する必要があるかです。
責任範囲とは出資者の責任範囲で、その出資金の範囲を超えた責任を取る場合は無限責任、出資金の範囲の責任であれば有限責任になります。
これをみると、株式会社、合同会社が有限責任なので事業で失敗をしても有利に見えます。
実際教科書通りでもそのように説明されていますし、企業形態を選ぶ場合もその2つから選ばれる場合が圧倒的に多いです。
ですが、実際にはそこに落とし穴があります。
有限責任の落とし穴
よくある間違いが、有限責任ならリスクが少ないということです。
これがなぜ間違いかというと、規定の方法で資金獲得した場合以外でも資金調達をしている事があるからです。
そうきくと怪しい印象を受けますが、ほとんど全ての企業が行っていることですし、場合によっては個人事業主の方も行っているでしょう。
資金調達の落とし穴
どういう資金調達方法かというと、銀行や投資家からの融資です。
融資とは出資ではなく貸付であるため、返す必要があります。
ですが、有限責任の人物しかいない株式会社や合同会社が倒産しても、本来的には誰も返してくれません。
貸し付けたのは会社に対してであり、その会社に対して責任を持っている人物も出資金以上の責任を追わないからです。
そのため、貸し付ける側もそんな怖いことはできないため、多くの場合は代表者に連帯保証人になってもらっていますし、その殆どが根保証です。
つまり、会社が倒産すると代表者や役員は出資金と貸付分の合わせた金額を保証する必要があるのです。
要するに会社法に規定されていない、教科書通りではない見えない責任があるということになります。
例を上げてみましょう。
例えば、資本金1千万円の会社で、5年間優良な事業運営していて借り入れもしているような会社が、急に売上が激減して全く回復せず倒産することになったとしましょう。
1千万円で5年優良な経営をしていれば、借り入れてほしいといくつかの声がけをされていると思います。
そういうとき借りられる上限は、色々な制度を利用して資本金の10倍以上借りられたりします。
つまり1億円以上の借金がある状態です。これが倒産するとどうなるか。
会社は倒産して1円も残っていませんから返せませんので、連帯保証人の代表取締役、つまり社長一人が殆どの場合保証することになります。
会社が倒産しただけで1億円の借金なんて、教科書には書いてありませんし優秀でない司法書士なら教えてくれません。
そうなると、代表者は全く返せる見込みが無いので破産することになります。
もしくは、返せそうであれば返すことになりますが、大変な金額です。
一生かかって返すことになるでしょう。
そうならないために、日々小さな売上も逃さずに努力を重ねて、無駄な支出をしないように心がけながら企業運営していきましょう。
さいごに
今の日本では、借り入れのない企業はほとんどありません。
新しい事業を始めたり、運転資金として必要があるため多くの企業が借り入れに頼っています。
これから新たに起業する方も、おそらく借り入れを頼る時が来るでしょう。
そのときに、この記事を思い出していただければ幸いです。
今日のペンちゃん
やっと御飯の時間だ!
巣穴から出てきてちょこんとすわって餌を頬袋にためこむペンちゃん。かわいい♪
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